美容師という職業、定年退職はあまり聞きません。「手に職」があるからでしょうか。引き際は自分で決められる。
取引先美容室で86歳の現役オーナースタイリストさんがいます。
1939年、ドイツがポーランドに侵攻した年、第二次世界大戦勃発の年に生まれた人。
30歳で独立し56年間、仕事を続けながら家庭と両立し、ご主人が現役会社員の頃は毎日お弁当を手作りし、お子さん二人を育て上げた。
おっとりしているがパワフル。臨月までハサミを持っていたそうです。
ほぼ白髪なので完全ブリーチしてプラチナシルバーのベリーショート。
来店客に対しての最低のマナーとしてスッピンで店に立たない。
とはいっても、ファンデ無し、日焼け止め+フェイスパウダー+アイブロー+目尻だけマスカラ、透明感のある肌に際立つ赤い口紅。
DIESELのデニムにリネン白シャツと首元のスカーフがワークスタイル。
ファッション誌でよく見かけるパリの貫禄あるマダム風。
着付けも総理大臣賞を受賞し、お弟子さんも多く育てた。
正月休み明けは和服で店に出る。
とにかく粋だ。
客層は3世代、家族ぐるみ。孫世代のストリート系ヘアのお客さんもいる。
成人式の着付け、さすがに帯は力仕事なのでスタッフさんにお任せですが、
毎年、早朝4時から予約客を手際よく仕上げていく。
休みの日はプール、太極拳。
背筋も真っ直ぐ。
立ち姿も年齢を感じない。
食事にこだわり、どんなに忙しくてもキッチンに立つ。
モットーを聞いたら「自分で決断してやったことは失敗しても後悔しないこと」と「パジャマ以外ウエストがゴムの服は着ない」とのことだった。
仕事の話が終わり、世間話をしているだけも元気と勇気をいただいています。
いつも。
この人に会うと
誰もが誰かと同じ人生を歩むことはない「平凡こそ非凡」という言葉が浮かぶ。

